あいまい採用を解決するために。ジョブテスト開発の裏側に迫る
こんにちは!人事の石川です。
今月2月15日に正式リリースを迎えたHeaRの新規事業である「ジョブテスト」。ジョブテストとは、「あいまい採用を解消する」スキルテストSaaSのことです。70種類のワークサンプルテストをデジタル化し、採用面接のジャッジを自動化します。(https://jobtest-lp.com/)
今回は、ジョブテストの開発をリードしてきた3人にインタビューしました。開発の裏側に秘められた、3人の並々ならぬ情熱に迫ります。
メンバー紹介
松丸 海太
新卒で医療機器メーカーに入社し、研究開発の傍ら新人研修や労働組合の活動にも邁進。その後、ブライダル業界へジョブチェンジし、プランナー・組織開発を経験。2020年にHeaRへ入社し、ジョブテストのプロダクト開発を中心に従事。
高橋 祐太(左)
幼少期を海外で過ごす。大学卒業後大手人材紹介会社にてエージェントを経験後、HALLHEARTに転身。デジタルマーケティング・SaaS領域特化の新卒採用コンサル、転職エージェントを経験。現在はHeaR株式会社にてコンサルタントとして複数社の採用支援に携わりながら、ジョブテストの開発やCS組織の立ち上げに従事。
篠村 恭太(右)
新卒で金融に入社、ベンチャー起業での宿の立ち上げやゲストハウスの起業を経験し、リクルート北海道じゃらんで広告営業。マーケティング、事業開発、人事責任者など幅広い領域を経験し、HeaRではジョブテストの事業開発、キャリアトレーナー、労務を担当。
企業側と採用候補者側、双方のメリットを創出
── はじめに、ジョブテストのプロダクトビジョン「あいまい採用を解消する」について教えてください。
高橋:企業側と採用候補者側の二つの視点でお話ししますね。まず企業側は、採用担当者の意思決定の自動化が可能になります。これまでスキルの見極めは採用担当者の能力に委ねられており、どうしても曖昧な判断に陥りがちでした。ジョブテストが導入されることで、スキルの見極めが定量化され、採用面接のジャッジが自動化されます。結果的に、入社後のスキルのミスマッチを減らすことができます。
ジョブテストが浸透すれば、個人の努力が学歴や職歴以外で認められる社会になると思っています。すなわち、全ての人が自らの努力によってチャンスを掴むことのできる社会を作り上げることができるのです。
松丸:HeaRとしては、履歴書や職務の“綺麗さ”で採用を判断するのではなく、これまでの努力が可視化され評価される文化に変えていきたいです。努力がキャリアに結びつき、報われるようになってほしい。そんな願いを込めて、私たちは「努力の履歴書」という言葉を大事にしながらプロダクトを開発しています。
採用要件を分解し、カスタマイズしたテストを提供
── 最終的にはどのようなテストができるのか教えてください。
松丸:ひとつのテストあたり15〜20問で、職種経験者の正答率は7割以上、未経験者は3割ほどの正答率のテストが出来上がります。職種経験がないのに簡単に解けてしまってはテストとして妥当性に欠けるので、標準的な正答率にするためのラインはどこなのか見極めながら制作しています。
── どのようにテスト制作を進めているのか教えてください。
高橋:3人で役割分担をしています。篠村さんはコミュニケーション能力やロジカルシンキングといったポータブル系スキルのテスト、松丸さんはセールスやマーケティングなどビジネス系の職種別テスト。私はエンジニア向けのテストです。
松丸:高い品質のテストを制作するため、日々勉強しながらテスト作りに励んでいます。HeaRではさまざまな職種を経験したメンバーがいるので、テスト作りに協力してもらったり都度フィードバックをもらったりして、社内一丸となって制作に取り組んでいます。
篠村:社内の知見をフルで活用しつつも、すべてのテストを社内だけでカバーするのは難しいので、社外のパートナーさんにも協力を依頼しています。たとえば私はシェアハウスに住んでいてフリーランスなど専門性の高い方々との関係が深いので、適切なアドバイスをいただきながらテストの精度を高めています。
── 純粋な疑問ですが、「セールス」と一言でいっても、求められるスキルは企業によって違うはず。どのようにして汎用的に作るのでしょうか?
篠村:「セールス」という職種を要素分解することで汎用的なテストを作っています。課題解決型のセールスであれば「仮説・思考力」、MR系のセールスであれば「医療系知識」、業務の幅が広いセールスであれば「Webマーケティング知識」など、企業によってセールスに求める能力はさまざまです。必要なスキルを最大5つ抽出し、それらのテストを組み合わせて提供しています。
── なるほど、単一化されたテストではなく、企業の採用要件にフィットするテストを提供しているんですね。
高橋:背景にあるのは「採用要件の明確化」です。どういった業務で、どういったスキルが必要なのかを分解し、その業務の解像度を上げていきます。分解を経て、テストの設問に落とし込んでいく流れです。
── テスト作りのために採用要件を分解する。採用の知見が深いHeaRならではの観点ですね。
期待されているからこそ、「怖い」し「面白い」
── ジョブテストの発想の根源にある「ワークサンプルテスト」は、日本にはまだ浸透していない文化です。制作する上で、大変なことも多いのではないでしょうか。
松丸:「場合による」に三ヶ月は苦しめられました(笑)。
篠村:テスト制作をしていると、「んーこの設問は、場合によるね」というフィードバックをもらう機会がめちゃくちゃあります。状況次第で回答が変わるような設問を無くしていくのがすごく大変でしたね。
高橋:私たちはひとつのテストに対して、最大で2週間かけて制作します。それが、「場合による」の一言で無に帰すわけですから、涙が出そうになったりします(笑)。市場に公開したときも、クリティカルなご意見を何件もいただき、心が折れそうになったこともありました。それでも、ユーザーの声を恐れずに聞き続けて、どんなフィードバックをいただいても、私たち自身が一番ジョブテストを信じて作り続けてきました。
── 市場に出したことで得た学びを教えてください。
松丸:プレセールスの段階では、開発の方向性や優先順位に頭を悩ませていました。しかし、市場から率直なフィードバックをいただいたことで私たちの目指す方向も固まっていき、今のジョブテストの形が作られていきました。まずは市場に出してみて、ユーザーの声を吸い上げていくことの大切さを体感しましたね。それに、市場からどれほど期待されているかを知れる機会になったのも良かったです。
篠村:私たちがやっていることって、採用の新たな文化や慣習を作る取り組みなので、周囲の期待も大きいんだと日々感じます。シェアハウスのメンバーからも、「めっちゃ面白いサービスだね」と言ってもらえて嬉しいです。
高橋:ジョブテストのセールスを進めていくと人事の方々からも期待の声をいただきます。「今は適性検査を使っているけど、絶対にジョブテストの方がいいね!」などです。こんなに楽しみにしてくれているんだなと思うと、「逆にこえぇ〜!」と思ったりもします(笑)。嬉しさと同時にプレッシャーもある感覚ですね。期待値が高いからこそ、その期待値を越えていきたいと思っています。
松丸:HR業界では面白そうなサービスがどんどん出ていますが、キャリアや採用そのものを覆すような新しい概念を提唱できるのは稀だと思っています。自分たちがそんな仕事に携われるって結構テンションがあがりますね(笑)。
ジョブテストが広がった先に描く未来
── いよいよ正式リリースを迎えましたが、ジョブテストを通してどのような価値を生み出していきたいですか?
松丸:キャリアの当たり前をアップデートしていきたいです。私がジョブテストを好きな理由は、企業側と採用候補者側の両方にアプローチしているという点です。両方にアクションしていかないと、本当の意味で「いい世界」は生まれません。スキルを伸ばしても企業側に受け入れてもらえない、企業側の受け入れ体制ができても候補者側のリテラシーが低いなど、課題を残してしまうためです。ジョブテストがしっかりと社会に届けば、これまでの当たり前が変わっていきます。
高橋:私はエージェント経験があるのですが、候補者紹介をするときに、職歴だけで書類選考に通らない方もたくさん見てきました。スキルもあって素晴らしい方なのに、無名企業というだけで一瞬で落とされてしまう。職歴だけで判断をされることに対しての違和感がずっとあったので、ジョブテストを通して採用そのものをアップデートしたいという思いが強いです。さらに、ジョブテストの強みは「意思決定の自動化」なので、用途を拡大していくことができます。エージェントが候補者紹介をする際の根拠づけにしたり、異動を希望する際にスキルを身につけた証拠として利用したり。ジョブテストが広がっていけば、これまでにない新しい世界が広がっていくと思っています。
篠村:ジョブテストがあると救われる人はたくさんいるはずです。私自身、職歴は決して綺麗ではないので、きっと書類選考で落ちてしまう側です。これまで短距離走を一生懸命走ってきた自負がありますが、スタートラインにすら立つことができないわけです。でも、ジョブテストによって「努力の履歴書」がしっかり可視化されれば、色々なチャレンジがしやすくなり、雇用の流動化が進んで日本全体の生産性が上がっていくと私は信じています。そして、キャリアを通して活躍していく、青春の大人が増えていくと思っています。
松丸:今、篠村さんから「職歴が綺麗じゃない」という話がありましたが、テスト制作という意味ではむしろ、色々な企業を経験していることが強みに変わります。篠村さんは多くのつながりを持っていて、ジョブテストの制作にも協力してくれる仲間も大勢います。それって本当に素敵なことだと思っています。
── なるほど、多彩な経験をお持ちの方のほうがジョブテストの制作では重宝されるわけですね。ここまで伺ってきて、みなさんのジョブテスト制作に対する原動力を知れたように思います。
高橋:HeaRの事業成長という意味でも重要な意味を持つプロダクトなので、私の場合はそこも原動力となっています。採用コンサルティングは属人化した事業のため、優秀なコンサルタントを採用できなければ事業の伸びは停滞してしまいます。これまでもプロダクト開発に3回ほどチャレンジしていますが、色々な経験を経て、ようやく辿り着いたのがジョブテストです。このチャレンジによってHeaRが伸びていくのが想像できて、純粋にワクワクします。ジョブテストを成功させて、「青春の大人を増やす」というミッションの実現に近づけたいです。
篠村:私には最終的な目標があります。「ジョブテストを動詞にする」という目標です。「PayPayする」「LINEする」のように、サービス名自体が動詞になっているものがありますよね。電車に乗っていたら、若い人たちが「今日ジョブテした?」と会話していて、それを横目で見るのとか、夢ですね。その夢に向かって日々走っていけること自体が、私のやりがいになっています。
── みなさんが強い信念のもとジョブテスト制作に取り組んでいることがわかるインタビューでした。ありがとうございました!
ジョブテスト制作の裏側、いかがでしょうか?新規プロダクト開発の裏側では苦しいこともたくさんあったかと思いますが、ジョブテストがつくる世界を信じて向き合う3人。これからが楽しみです。
ジョブテストをさらに強いプロダクトにし、世に広めるためにも仲間が必要です。少しでもご興味ございましたら、ぜひ一度お話しませんか?